「わたしも招かれた日に言われたんだよ。2年くらい前に、ちょっと酒に溺れていたことがあるだろう?」



「…母さんとケンカしたとき?」



「そうそう、そのとき。偶々居合わせた美織さんに“瞬の嫁に来ないか?”と、話を出したんだ。そうしたらね、心底イヤそうな顔をされて、


“酒に溺れてなにも行動しないタヌキの息子の嫁になんてなりたくない。絶対ムリ”


って言われたんだ」




後ろで「プッ」と吹き出す声が聞こえた



あいつ、本人に“タヌキ”って言ったのかよ




「でもね、本当に効いた言葉があるんだ。


“家族と接するときくらい仕事と男のプライドは捨てろ”


って。そこで止まれば良かったのに、美織さん何て言ったと思う?」



「……知らねー」



「“わかったらさっさと家に帰って土下座しなさいよタヌキ”
後でこれを聞いてた涼川君が一発シバいてたね」