初恋の宝箱


「早くとって来い」

教室を開けるなり柳瀬の指示で桃子は足早に自分の机の中を探る

しかし机の中に『おき勉』として放置されている教科書が多過ぎて、なかなか探しているテキストが見つからない

仕方なく桃子が机の上にドカッと教科書やテキストを出すと、柳瀬の溜息が聞こえた

「お前、どれだけ教科書置いて帰ってんだよ!」

えっと言って桃子はバツの悪そうな顔を柳瀬に向ける

「英語なんて全部置いて帰ってるじゃないか!さてはお前、授業中に宿題処理してるだろ!」

図星だ

もはや柳瀬に言い訳するための言葉は桃子には思い浮かばなかった

「そりゃあ、成績が欠点スレスレのはずだ!」

柳瀬の怒りのボルテージが最高潮に達した時

桃子の口に今までに感じたことのない感触が広がった

自分の唇を塞いでいるのは間違いなく柳瀬の唇であることがかろうじでわかる

『ナニナニナニ!?これ』

桃子は動揺して動けないでいる

「俺のこと好きなら、もう少し英語の成績を伸ばせ」