「…っ!」 慌てて意識を引き戻す。 いつ手に取っていたのか、私の手には 写真立てが握られていた。 写真の中の家族は幸せそうに笑っていた。 屈託のない笑顔たちを見ていると、 言いようのない孤独感が襲ってくる。 写真立てをテーブルに置いた。 さっき置いてあったように伏せておく。 まだ、あの時に向かい合う勇気がない。 ―私は、ただの臆病者だ。 ―逃げているだけなんだから。 向かい合わなきゃいけないことは 分かっている。 自分が一番分かっている。