「そうやってお前はいっつも 誤魔化すなよ…」 龍斗がぼそりと呟いたのを、 私は聞こえないふりをした。 ―話したくない。 「あ、…私、戻るね」 逃げるように屋上を出ようとする。 「…待てよ」 龍斗が腕を掴んでくる。 手の力が強くて、腕を振りほどけない。 「霧咲(きりさき)…何したんだよ。 何があったんだよ」 「…穂高には、関係ないよ」 目をぎゅっと瞑る。 頭の中に浮かぶ映像を必死に頭の奥に 押し込もうとする。