―彼氏と彼女―





「―――こんなもんね」


 ぜぇぜぇ言いながら後ろから着いてくる私を無視するように、絵里さんは歩き始めた。



「あ、の、これから、どちら、へ?」



 息も絶え絶えで、苦しい。

 私の質問には答えず、スタスタ前を歩く絵里さんに、私は泣きそうになる。



 10分ほど歩くと、くるりと私を見て、


「ここよ」


 ある場所を指さした。

 そして、そのまま建物に入っていく。



 私はもう、考えるだけの気力も体力もなくて、彼女の後を追った。




「いらっしゃいませー」



 入った場所は、美容室だった。