私の言葉に「頼む」それだけ言って、彼は私の席まで来ると向かいに座り、プリントを出した。
予想通り、それは今日の国語の授業で出されたプリントだった。
本当は授業中に解いて提出しなくちゃいけなかったんだけど、彼は解けなくて、今日中に出しなさいと先生に言われていたのを、私は思い出した。
憧れ続けた彼が向かいに座っていることに、私の心臓ははちきれそうで。
目の前の彼に気付かれないよう、必死に平静を装った。
その努力虚しく、ドキドキして説明する声が裏返り、手も震えるからミミズみたいな字になり………本当、最悪だ。
そんな私の説明を、彼は時折唸りながら聞いていた。
.


