―彼氏と彼女―





「……おい 聞いてんのか」



 返事ができない私に無視されたと勘違いしたのか、少しムッとした声で呼ぶ彼。





「……聞こえてる…」


 言って、ノートを叩いて机に置くと、ゆっくり彼に視線を合わせた。





「お前、頭良かったよな?」


 最初と同じ質問を、ゆっくり聞いてきた。



 彼の茶色の瞳には、私が映ってるんだ……。




 そんなどうでもいい事を考えながら、


「良いかは解らないけど……広瀬君の解らないところ、教えようか?」