―彼氏と彼女―





「沙智。お前具合が悪いなら」

「違う…。 ずっと、考えてたの」



 私の言葉に、彼は目を見開いた。



「私に付き合わせて……今まで、ごめんなさい。

 もう……大丈夫だから」



 笑えてるかな?


 こんな私達でも、一年間は“彼氏 彼女”だったから。

 最後は、笑顔で別れたい。




 彼は眉間にしわを寄せて何かを考えてる。


 私はもう、これ以上は居られなかった。

 ―――涙が止まらない。




「行くね」


 通り過ぎようとしたら、広瀬君に手を掴まれた。