―彼氏と彼女―





 もう………



 無理かもしれない。








「沙智」



 少し苛ついた声で、広瀬君が私の前に立った。



「お前」

「広瀬君…」



 喉がひりひりする。


 冷たい風で、濡れた頬がさらに冷えて、白い息が震える。




「……別れよう」




 見上げたら、やっぱり、彼の表情は読めない。




「私達、別れよう」