―彼氏と彼女―





 私の手に、押し付けるように携帯を渡してきた。



「――フラフラしてんじゃねぇよ」


 そう言って、歩き始めた彼。





 ――フラフラしてるの?私。


 自分は女の子と腕組んで歩くくせに。


 他の子に、名前で呼ばせてるくせに。



 私のこと、好きじゃないくせに―――…






「おい」



 後ろからついてこない私にしびれを切らしたのか、広瀬君は公園の出口で振り返り私を呼ぶ。

 いつもなら、走って彼の元へ行くけど―――今の私は、足が動かない。