―彼氏と彼女―





『俺……沙智が好きだ』




 それは、私の思考を停止させるには充分で。




『今日ずっと一緒にいて、俺、お前が好きになった』



 ―――ダメ。



「小林君……それは」

『彼氏と別れて俺にしとけよ。 俺なら絶対に、沙智を大事にする』



 さっき会ってた時とは違う彼の声に、何も言えなくなる。



 ……それとも、迷ってるの?私は。





 ザッと足音が後ろでした。

 気付いた時には、すでに遅かった。