―彼氏と彼女―





「もしもし?」

『わりー! 今大丈夫か?』



 電話は小林君からで、私は彼の質問にチラリと広瀬君を見て、「大丈夫」と告げた。




『いや、さっき悪かったなって思ってさ』

「さっき?」

『別れろとか、余計なこと言った』


 ―――っ


 彼の声は、かなり大きい。

 多分、周りに響くほどに。



「ううん…! だ、いじょうぶ…っ」


 広瀬君に聞こえないように、慌てて背中を向ける。



『俺さ、気付いたんだけど』



 小林君が、さっきまでとは違い、声のトーンを低くした。