「帰るぞ」 そう聞こえた瞬間、俯いていた私の視界から彼の靴が消えた。 顔を上げると、彼はすでに歩いてる。 身長差があるせいか、彼が進む距離が速くて、私は少し小走りで追い掛けた。 付き合ってるのに、私の瞳には相変わらずな彼の後ろ姿。 家に近づくと、いつも通ってる公園に着いた。 近道でいつものように公園内を入ると、私の携帯が鳴った。 「あ……ごめん、出るね」 立ち止まり、前を歩く広瀬君に断ってから、電話に出る。 彼は三メートル位離れた場所で待っていた。 .