―彼氏と彼女―





 私は、入学式で初めて見た彼に一目惚れをした。



 三年生になって、やっと同じクラスになれたけど―――すでに十二月。


 ……まだ、一度も話したことがない。


 いつもこうやって盗み見てるだけ。





 なんだか思い出したら、苦しくなってきた。








 もう、忘れ物取って帰ろう。



 彼はきっと、私の名前なんて覚えてないから。


 挨拶だけしてすぐに帰ればいい。