―彼氏と彼女―





 空気がどんよりしてる。



 私を避けるように通行人は避けていって。


 さっきまであんなに暖かだったのに。

 可愛い鉢植え見つかったのに。




 私が下唇をきゅっと噛むと、小林君が数歩近付いて、


「沙智。 甘いもん食いに行くぞ!」


 頭上からそんな言葉が聞こえた瞬間、彼は私の手を掴んで歩き始めた。




「小林君…!」



 彼は私の戸惑いを無視して歩き進める。

 でも、掴まれてる手が暖かくて。不思議と嫌じゃなかった――。