―彼氏と彼女―





「ありがとな!」



 あれから三軒花屋をはしごして、やっと可愛らしい花を付けた鉢植えを探すことができた。



「お母さん喜んでくれるといいね」


 小林君があれだけ頑張って見つけたんだから。

 大事に育ててくれると良いな。



 私も自分の事の様に嬉しくて。気付けば、一番ハシャいでいたのは彼ではなく、私だった。



「……宮田…。本当にありがとな」


 急に真面目な顔で、私のすぐ前に立った小林君。

 私は少しびっくりしたけど、「どういたしまして」と笑顔で返した。



「お前……」


 小林君がそんな私を見て口を開きかけた時。

 突然、突風が吹いた。