―彼氏と彼女―







 探して、探して―――…


 見つけたのは、図書館のシンボルツリーの下。

 大きな木の木陰に佇んでいた。



 ゆっくり近付くと、彼女は木を見上げたまま泣いていた。







「沙智…」




 俺の呼びかけに、ゆっくり目を俺に向ける。




「ちゃんと言わなくて……悪かった」



 俺を見つめる瞳は赤くて。

 いつまでも潤む瞳を見ていると、胸が痛くなる。




「……いつ……行くの…?」




 今にも泣きそうな顔で聞いてくる彼女を見ていたら、抱き締めたくなる―――。