―彼氏と彼女―





 確かに母親の話をしなかった俺のせいだ。


 分かってる。

 分かってるけど―――



「どうしよぉ……沙智泣かせちゃったよぉ」



 絵里が忠司に泣きながら訴える。


 正直、泣きたいのは俺だ。





「大丈夫だよ。

 後は、鷹臣と彼女の問題だ」


 ヨシヨシと頭を撫でながら俺に笑顔を向ける忠司。


 絵里を泣かせたことをマジで怒ってやがる…。




「絵里。 お前だけが悪い訳じゃないから。

 怒って悪かった」



 言って、沙智を追いかけた―――…。