―彼氏と彼女―





 ただ、クラスにいる時の彼女は相変わらず一人で。
 廊下側の席で、本を読んでいた。


 俺と帰る時も、目を合わさずに教室を後にする。
 俺が慌てて追いかけると、校門から少し離れた場所で俺を待っていた。


 そんな俺達に、周りは付き合ってると気付くわけもなく、二人の距離は縮まらない。



 ―――が。

 それでも良かった。



 帰りは一緒に帰るし。


 まだ俺は受験生だし。


 卒業して高校生になってから、彼女ともっと深く付き合っていけばいい。



 今は、それでいいんだ。


 そう、自分に言い聞かせて―――…