―彼氏と彼女―





 宮田は少しぎこちなく。でも、丁寧な説明で一問一問、問題を解いていく。

 先生よりも分かり易い説明で、どんどん面白いくらいに理解できた。


 そして―――


「ぃよっし! 終わったぁ!」



 一時間もせずに、プリントを全て埋めることが出来た。



「……お疲れ様」


 宮田の小さな声が、俺の耳に響く。

 俺は自分でも気付かないうちに、笑顔で「ありがと」と言っていた。


 ふと、壁に掛けてあった時計が目に入る。



「――やべ! もうこんな時間だ!」


 入院してる母親の面会に間に合わない。

 慌てて帰り支度を終えると、図書室から出ようとドアに向かう。

 その時、


「ひっ 広瀬君!」



 慌てたように宮田が呼んだ。