―彼氏と彼女―





 顔を、思い浮かべる。





 いかにも真面目そうな女子。


 いつも廊下側の席で本を読んでいて、友達と呼べる奴はいなさそう。

 成績は学年で上位で、今の時点で県内一の高校に推薦合格間違いないと言われてる女。



 俺の知ってる情報は、それくらい。




「キャン!」



 女子の事を考えていたせいか、子犬がもっと遊べと騒ぐ。

 でもいい加減、そろそろヤバい時間だ。




「……悪いな。 家は飼えないんだよ…」


 俺の言葉が理解できない子犬は、それでも俺の顔を嬉しそうに舐める。




 母親の言っていた意味が、本当に分かった気がする……。