「……いい加減、名前で呼びませんか?」


 ニヤリ笑って言う彼にはお見通しで……。



「なっ 何のこと…っ」



 五月も終わりの今、未だに彼を下の名前で呼べない私はチキンな訳で……。



「――ほら。 早く呼んで」



 顔を近づけてそんな意地悪を言うなんて……絶対、彼はドSだよ…!





「た、か…」

「ん?」

「〜〜〜たか、おみ……」

「んん?」


「たっ 鷹臣君…っ」



 呼んだ瞬間。


 彼の唇が私の息を止めた―――…