「……で?

 あいつに負けたのが悔しくて、しばらく俺とは帰らないってか?」


 呆れたように公園のベンチに座る彼に、私は慌ててしまう。



「そっ そうじゃなくて」

「じゃ、何?」


 座ってる彼の方が低いはずなのに……見上げられてると、見下ろされるのとは違う迫力があって。



「え、と……たか…広瀬君も一緒に、放課後、図書館デートなんて……しませんか?」


 なんだか叱られて立たされてるみたいな図になってるけど…。


 彼は私の申し出に、なぜか吹き出し、

「いいんじゃないですか?
 沙智さん?」

 からかうようにそう言うと、私の手を引いて、自分の膝に私を乗せた。



「ちょっ えっ? な、何…?!」


 あまりの恥ずかしさに立ち上がろうとするけど、腰をガッチリ捕まれてしまえば、身動きできない。