―彼氏と彼女―





 ………何度も、確かめるように触れる唇。



 逆上せて思考が停止してしまう―――…










「沙智……好きだ」



 言われて……もう、無理だった。







「私も、好き……大好き…っ」



 決壊した瞳からは溢れんばかりの涙。


 寒空の下、塗れた頬が急激に冷たくなるのを感じる。



 彼は私のそんな姿に、小さく笑い、


「は―――っ

 やっと、言えた!」


 私をまた抱き締めた。