―彼氏と彼女―





 私に、触れたい……?




「まだ……ダメか…?」



 恐る恐る聞いてくる彼に、私は顔が赤くなる。




「無理なら…」

「だ、ダメじゃ、ない」


 言って、彼のダウンの袖口を掴む。



「は………」


 広瀬君は珍しく目を見開いて、私を凝視する。



「ダメじゃ、ないから」



 あまりの恥ずかしさに、目をギュッと瞑る。




「沙智」


 呼ばれて、目を開けた瞬間―――



「……んっ…」



 私の唇を覆う、温かい彼の……