―彼氏と彼女―





 私の腕を力一杯掴んで縋る手を止める彼の顔は……

 怒ってる顔で…。



「はぁ… 最後まで話を聞けよ」



 大きく息を吐くその姿に、呆れられたと、また涙が溢れ出る。



「あーあー……もう、お前泣きすぎ」

「だ…だって……っ

 あ、呆れたでしょう?私のこと…っ」



 彼の細く長い指が、私の涙を拭っていく。

 それでもボロボロ流れる涙が止まらない。




「ははっ 呆れてねーよ。
 ただ……話は最後まで聞けって。

 もう我慢出来やしねーよ。
 触れたくて……手を繋いで、キスをして……それ以上だってしたい。

 もう、我慢出来ない」



 そう言って小さく笑った彼の笑顔が……今まで見た中で一番カッコ良くて。

 言われた内容と、その笑顔に、私の涙は瞬時に引っ込んだ。