―彼氏と彼女―





「お前と付き合い始めて……正直、受験なのに浮かれてる自分がいて。

 だから、頑張ったんだ。
 沙智は県内一の進学校に行くから、俺もそれに見合うようにって」



 私の頭を優しく撫でてそう話す彼に、私はゆっくりと落ち着きを取り戻した。



「でも……お前との距離は縮まないし、もしかしたら卒業したらそのまま終わるんじゃないか……とか思えてきて」



 ―――私と同じ事を…?


 ゆっくり顔を上げると、いつもの表情だけど……耳が、赤い事に気付いた。


 …………あれ?



「そしたらやっぱり、卒業式終わったら一人で帰ろうとしてるし」


「あ…っ あれ、は…!」


「しかも、春休みが過ぎても連絡ないし……俺からメールしなかったらお前、そのままだっただろ」


「そんな事…っ!」