―彼氏と彼女―





「あいつと……付き合ってたんじゃないのか?」



 抱きしめる腕はそのままに、ため息混じりの彼の声は、色気があって……私の脳を刺激する。




「小林君は……友達だよ」


「でも、相手はそうは思ってない」


 言って、私を放すと真っ直ぐな瞳で私を射抜く。




 今までは、恥ずかしくなって顔を背けてきたけど……私は、その瞳を見続ける。






「確かに……告白された。

 でも、断ったの。

 だって、私は広瀬君しか見えな」



 言葉の途中なのに、彼は初めて、顔を歪ませて……私を引き寄せた。