―彼氏と彼女―





 しばらく沈黙が続いた、その時―――



「………………は」



 声に、ビクッとしてしまい、あまりに大きく揺れたせいか、箱が掌から落ちてしまった。



「やっ……嘘!」


 慌てて拾おうとした私の手を、大きな手が包んだ。





「あ………え…っ」



 そのまま引き寄せられて、私は力いっぱい抱き締められる。











「悪い……今日だけは………………」




 切ないだけの声が、頭上から降り注げば……


 私は身動きせずに、ただ、黒いダウンに顔を埋めるしか出来ない―――…