「ひっひろ、せ…」



 泣いてグシャグシャな顔。


 涙で化粧も取れてドロドロの……こんなの、彼には見られたくなかったのに……




「沙智……お前、何で……。

 あいつと……彼氏と何かあったのか?」


 伺うように覗き込みながら、彼の言った一言。


“彼 氏”……?




「ちが…っ」

「ケンカでもしたのか…?」



 ―――違う…っ!


 頭をブンブン振って違うというのに……泣いて言葉がうまく紡げない。



「とりあえず……はい」


 渡されたのは、温かいミルクティー。