それでも時間は過ぎていき……とうとう、その時間は来た。





「……用意しよ」




 来なくても、かまわない。


 それならそれで、今日全てが終わるだけだから。







「行ってきまーす」



 歩く度にザクザク言う、この真っ白な道が広瀬君にも続いてるのかな。


 そう思ったら、この迷惑な雪も、キラキラして見える。




「はぁ…」



 少し空を見上げると、雪の日特有の灰色の空が広がっていて―――


 彼が、いないかもしれないと、思えてきて……無性に寂しくなった。