広瀬君は私を無表情でジッと見る。 私も……目を逸らせなかった。 彼から目を離したのは、ほんの一瞬。 私に気づいてない絵里さんが、広瀬君の腕に手を回した瞬間。 「沙智、お前決めたの?」 小林君が私の肩に手を置き覗き込んだ。 ハッとして、広瀬君達がいた場所を見るけど―― すでに、姿はなかった。 「決まって良かったな」 小林君と帰りの電車の中、さっき買ったばかりのチョコを食べる。 これは、今流行りの“自分用”のチョコ。 .