―彼氏と彼女―





「小林君はお兄ちゃんみたい」

「あれ? 沙智って兄ちゃんいた?」

「ううん。私は一人っ子」

「あー、そんな気がするわ。
 一人遊びうまそう」

「……それって褒め言葉?」

「んー、多分」

「多分て……」



 こんな会話をしながら私たちが今いる場所は、前に絵里さんと来たショップが沢山入ってるビルで。

 一階の特設コーナーにはバレンタインに関するモノが全て揃っていた。



「お前……作るんじゃねーの?」


 信じられないモノを見る目で私の手のモノを見る。

 私は彼のそんな視線に耐えきれず、目を逸らしながら、



「……私、料理壊滅的なの……。

 手作りあげてお腹でも壊されたら私……

 振られる理由を敢えて増やすこと無いと思うんだ」