振り返り後ろにいる絵里さんに、


「ありがとう。

 私、絵里さんの言うとおり何の努力もしないで彼と一緒にいた。
 そんな私を彼が好きになってくれるはずないのに……。

 気付かせてくれて、ありがとう」


 深く頭を下げた。



 周りはシン…としてる。

 何人か居たお客さんも、黙ってしまった。




「沙智……あんた」

「――私ね!」


 何か言おうとした絵里さんの言葉を遮り、私は必死で笑顔を作る。




「私、今まで勉強しかしてこなかったの。それ以外、何もしてこなかった。

 でも……これからは、女の子としても努力する。

 今度は、好きになった人に振り向いてもらえるように」



 笑顔、作れてるかな?