私の目は涙で濡れてる。


 絵里さんはその姿を見ると、メイク道具片手に大きな溜め息を吐き、


「何を聞いたか知らないけど。 あんたの頭の中の想像で勝手に傷つくのはやめてね。
 あんたもタカも、そのせいで前に進めなかったんだから。

 じゃないと、次も同じ事の繰り返しになるわよ」



 ………次…?


 もしかして絵里さんは、私の次の恋の心配をしてくれてるの……?



 俯いていた顔を上げると、絵里さんは気まずそうに目をそらした。

 その姿に、何故だかさっきまでの絵里さんに対する気持ちが姿を消した。




 ……絵里さんが広瀬君の今の彼女なのに……。前カノの私を心配してくれたんだ。


 私を、立ち直らせてくれようとしてるんだ。