―彼氏と彼女―





「女の子はね、恋をすると変わるのよ?

 沙智ちゃんも、きっと変わるわ」



 私の髪をイジりながらウィンクするお姉さんに、私は顔が赤くなるのを感じた。




 ハサミが動く音がする。

 お姉さんは真剣な表情で鏡で私を見ながら切っていく。


 その姿を見ていた私は、お姉さんと鏡越しで目が合った。



「綺麗な髪ね。

 絵里から明るい色にするように言われたけど、勿体ないから染めるのはやめるわ。

 大丈夫。 メイクだけでだいぶ変わるから」


 ニッコリ笑うと、またハサミを動かす。


 私はさっきからいない絵里さんを、鏡越しだけど探してみた。



 絵里さんはお店の奥で、買ってきた服を並べながら何か考え込んでる。


 ……何してるんだろ。