「別に私は面白くないわ。
それよりあなた山田太郎ね」


「ちがうよ~。
山田太郎ってだれのこと~?」



くずれない作り笑いだけれど、山田君の名前を出したとき一瞬だったけど眉毛がぴくっと動いた。


そして私は確信した。


「ごまかさなくていいわよ。
声と作り笑い山田君しかいないわ」


彼の吸い込まれそうな瞳をじっと見て答えた。

彼も私の瞳を見つめたままこう答えた。



「あはは~。
かなわないなぁ。
さあすがだね心愛ちゃん」


笑顔をくずさないまま、彼は私の隣に腰をおろした。


「名前」


「え?」


「名前も違うんでしょ?
山田太郎なんていまどきいないわよ」


「それもそうなんだけどぉ、1番日本人っぽい名前でしょー?」