桜の木の下で

午後1時、試合のゴングがなった。


歓声に包まれる中、1試合目の選手達が拳をぶつけ合う。


彼らもまた、何かしらの気持ちを背負って拳をぶつけ合っているのだろう。


そう感情移入した時、目に熱いモノがこみ上げてきそうになった。


僕はそれを必死に押さえ、辰巳と肩を並べて試合の行方を眺めている。


「真人」


ふと辰巳が僕を呼ぶ。


「んっ?」


「お前に報告しておかなければいけない事がある」


「えっ?」


僕は驚き、目線を辰巳に移す。


辰巳は目線をリングに向けたまま、語り始めた。