桜の木の下で

しばしの沈黙が車内を包み込む。


辰巳の緊張が、そして僕の緊張が、車内を沈黙させた。





そして…





辰巳がその緊張した空気を切り裂く。


「真人…、お前…、まだ…」


それから先の言葉を少し詰まらせた後、再び心を落ち着かせ、口を開く。


「奈美って人が好きか…?」





「えっ……?!」