ばあちゃんは、もぐもぐ、もぐもぐと口に入れた食べ物を、入れ歯で懸命に噛み砕いていた。


ウチの告白に驚きもせず、動作にも表情にも表す事もなく、
ただ淡々と、もぐもぐ、もぐもぐと……
その姿が、ウチには余計怖かった。



たこ婆……
何か言うてよ……と目で物を言うウチ。


と、ばあちゃんがウチをじっと見据えた。


「お前……まだ幾つやと思てるねん?」


「15やけど……この子が生まれる時には16になる計算や」



「生まれるってか?
この話しは……もう生む事が前提かいな?」


「直樹も喜んでくれてるし、それに、それになぁ……たこ婆、ごめん……
ウチ、ずっと隠してたんやけど、もう妊娠してから5ヶ月過ぎてるねん、
早くに言うたら、絶対に反対されると思ったから、今まで黙ってた、
もう、おろせる時期は過ぎてしもうた」


その時、ばあちゃんの入れ歯の動きが止まった。