●ウチ●


久美子はベッドの上で目を瞑り、腕には点滴


その横で、ウチは久美子の寝顔を見つめていた。


医者いわく……
拒食症がかなり進んだ状態だって、栄養失調状態まできているって……
暫くは点滴で様子を見るけど、このままいけば生死にかかわるかも知れないらしい。


精神的なストレスに心当りはないですか?と聞かれた。



そう言えば……久美子って、今までどんな人生を送ってきたんやろ?


もう店に来てから半年以上も経つのに……
何も聞いてやっていなかったし、よう考えたら、この子の事、ウチは何も知らんかった。


あまり自分の事を語る子じゃなかったから、敢えて聞く事もないと思ってきた。

おっちゃんの顔が浮かんできて……
えりの言葉を思い出した。


久美子……恋に苦しんでるの?


でもなぁ、あんたが真剣に思うほど、値打ちのない男やで、あの男は……

恋なんか、女なんかゲームの対象にしか思ってないから、あの男は……


病室の補助イスに座ったまま、ウチはコクリコクリと……いつの間にか眠ってしまった。