私は慌てて鏡台の前に座った。

何? 何なの?この顔?

泣き過ぎ? 瞼が腫れて、目は真っ赤……
顔はむくみ……そこにいたのは酷い顔をした私だった。


とにかくメイクで誤魔化して、店に急がなきゃ。


心の痛みを抱えたまま……目にアイラインを引く。

リキッドアイライナーが涙で滲む……何度引き直しても、また滲む。


昼間の和男さんの恐い顔を思い出したら、もういたたまれないよ。


ケータイを見たけど、寝ている間の着歴は、満月ママからだけだった。


恋しい恋しい琥珀色の君の名は、着歴の中にはなかった。


恋が舞い降りて来た……と、あれだけ有頂天になっていた私は、いったい何処へ行ったんだろう?


ここにいるのは……疲れ果て、身も心もずたずたになった白うさぎ。