まだひっそりとした店内で、ボックス席に、えりと向かい合わせで座った。


えりが……言いにくそうな表情で、躊躇いながら話し出した。



「言おうか、止めとこうか?って、めちゃめちゃ悩んだんやけど……」


「えり……何なん?
そんな深刻な顔して、何でも言うてや」


「久美子がいてないから……今しか言う機会がないと思って……
私な、前に……休みの日、黒ちゃんの車に久美子が乗ってるとこ見たんよ……
でも、それはたまたま偶然で、何かの理由があって車に乗せただけかも分かれへんし、それに私の見間違いかも分かれへんし………
って、店の中で揉めるのだけは嫌やったから……黙っておこうと思ったんやけど……
それがなぁ、それから以降も、この前、また見てしもうた。
2週間前の月曜の早朝、黒ちゃんの助手席に、久美子が…… 」


ウチは、気持ち落ち着かせようと、タバコに火を点けた。


おっちゃんと久美子が?
そんな……まさか……。