撮りとめた愛の色




「祭りだと先生の格好も違和感なく溶け込むよな。良かったな」

「嗚呼確かに。いつもなら浮くけど、お祭りだと浴衣とか多いもの」

「…これは私にとっては普段着なんだけれどね」


浴衣を着る人の多い祭りは苦笑いを零す彼が溶け込める場。なら一緒にいても変に注目されることもなく楽しめるのでは、と思い付く。すると、それを口にするより先に彼は「まぁ、その日は」と続けた。


「私には用事があるから行けないが花火を見るだけで十分さ。そもそも人混みは苦手でね」

「………、…」

「なんだ、先約があったのか?忙しいんだな。花火できんの?」

「花火は最後の締め括りだったろう。それまでには終わるから大丈夫だと思うよ」

「じゃあ少し長引きそうならメールしといて。俺か桔梗に───…、……桔梗?」

「え?っあ!そうだ、ええと…せんせって何が好き?お祭り行けないんでしょう?せっかくなんだから屋台で焼そばとか手土産に買ってこうかと思うんだけど」

「なに、そんな気を遣わなくてもいいさ」


ものを貰い慣れてない彼はいつのもように提案をやんわりと断った。

それを見て汰人が彼の好みを半ば無理矢理聞きだしている。そんな中、もしかしたら彼とお祭りを回れるかも、なんて空想が無意味だったことに少し落胆している私がいた。