あたしを育ててくれた母は、戦時中を生き抜いた、ちゃきちゃきの江戸っ子、浅草芸者で
喧嘩っ早く、

おおらか、
おおざっぱ
姐御肌。

そんな言葉がピッタリの人だった。

父とは駆け落ちをして静岡に逃げてきららしく、その性格や経験を活かして芸者の置屋を経営していた。

何時も家には誰かしらいて、綺麗に着飾ったお姉さん達が、夕方になると部屋に集まってきて、賑やかだったのを覚えてる

どれくらい経ったのか、あたしは涙を拭くと写真を撮り終え家に入ってく父と母…そして赤ん坊のあたしの後ろ姿をみつめていた。

夢にしては本当にリアルだなぁ…

泣いたせいか目が熱い感覚まである。

でも、例えどんなにリアルでもこんな事はありえない事だし。

あたしは今25歳
静岡なんかに戻って来た記憶もない、

結果これは夢なんだ。

夢だし…もう一度若い頃のパパとママに会っておきたいな

目が覚めたら、パパに話そう。
若い頃のパパに会ってきたよって。

あたしは玄関のドアを開けると中に入って行った