とりあえず、進んでみるかぁ…、

ここにいても仕方ない気がして、あたしはその光の方へ行ってみる事にした。

『ん?』

なんか見えてきた。
家…かな?
光が眩しくてよく見えない…
けど、近付くにつれ
徐々に家の輪郭がみえてきて。
はっきりするくらい近くに着くと、あたしは少し動揺した。

何せ、目の前の家は
あたしが昔住んでた家と全く同じ家だったから。

表札をみると
[三井]の文字。

やっぱり…あたしの家?

でも、そんなはずない
わかった!
これは夢だ…
こんな場所にあたしの家はないんだもの
そもそも
いきなり道が現れたり、子供が置かれてたり、
こんな場所自体あるはずない。
夢に決まってる…
絶対そうだ!

…そうとわかっていても
あまりにもリアルなこの感じに、
あたしは暫く動けずにいた。

どれくらい、そこにいたのか…
ふと、体が軽くなっている事に気付いて。

『あれっ…』

赤ちゃんが…いない。
さっきまで抱っこしてたのに。
あたしは辺りを見回した

何処に行っちゃったの…

あたしは来た道を戻ってみようとした。


「おい、早くしろ」

「はいはい」


家から少し離れると背後で声がして。
あたしは立ち止まると
ゆっくり振り向いた。

『パパ…ママ…』

目の前には、
若い頃の父と母。
家の前に三脚でカメラをセットしてる父…
玄関から出て来たのは
赤ん坊を抱いた母。
さっきまであたしが抱いていた赤ん坊を母が抱いている。

あたしは、近付く事も離れる事もできず
ただ、立ち尽くしていた
まるで金縛りにあったように…