いつまであたしはここにいるのだろう…

思い出したくない事
見たくない事

あと、どれくらい見たら目が覚めるのかな…

あたしはまた暗闇の中に座り込んでいた。

今はもう動きたくない。

早く目が覚めて
現実に戻りたい。

ただ、それだけ。


「ゆみ、紹介したい人がいるんだ」

父の声がする

『いいよ、もういい…』

あたしは体育座りで顔をふせていた。

「誰?パパのお友達?」

あたしの声がする

「ああ、そうだよ。
ゆみの新しいママになってくれるかもしれない人だよ」

あたしはゆっくり顔をあげた。

目の前に父と12歳のあたし、それに小柄な女性が立っていた。

「ゆみちゃん、よろしくね、仲良くしてくれるかしら?」

その女性は子供のあたしに優しく微笑んだ。

「うん…」

子供のあたしは戸惑いながらも頷いていた

複雑だった。
この人が父の浮気相手なんだろうか、
やっぱり母が言ってたことは本当だったんだ、とか。
頭の中はぐちゃぐちゃになっていて。

ただ頷いて、返事をする事だけで精一杯

これが後妻との出会いで

それは、母が死んで
半年も経たないうちの出来事だった。


あたしは立ち上がる気力もなく、座ったまま
目の前の昔の光景を見つめていた。

すると目の前にまた家が現れて。

『もう、覗かないよ…』

早く目を覚ませ!
あたし…。

あたしが顔をふせていると、横に人の気配がして

顔をあげると、いつの間にか茶の間に座っていた