気がつくと暗闇に立っていて。

目の前に子供のあたしが座ってた。

「ママを殺したのは
あたし…
あたしのせいでママが死んだ」

そお、何度も呟いていた

「ママの腕、あんなに細くなってたのに…
足も痛いって言ってたのに…」

あたしはゆっくり子供のあたしに近付いた。

「ママ…ごめんね
ママ…ママ…」

涙を零し何度も何度も呟いて

失って気付く

子供だったあたしには
痛いほど理解できた

失ってからじゃ遅い

ある時に気付かないといけなかったんだって。

「ママの骨…真っ赤だった」

死因は脳内出血だった。
歳のせいもあったみたいだったけど…

あの時ママの味方になってれば…

ママを病院に連れていってれば…

あの時…


あたしはなんでこんな夢をみてるんだろう。

こんな夢みてもどうする事もできないのに。




「それと、それも、あたし達が持っていきますから」

しばらくして、声が聞こえて振り向くと
親戚の人達がダンボールを持っていた。

「ママの…パパ…ママが行っちゃうよ」

親戚は母の遺品と遺骨を持って玄関にいた

「ゆみ手を
合わせなさい」

親戚のおばさんが子供のあたしの手を掴んだ

「いいから!」

父が声を荒げ、おばさんの手を振り払いあたしを抱き寄せた。

「パパ…?」

顔をあげ父を見ると
父は涙を流し震えていた


父なりに、母を愛していたのか…
涙の意味はわからない。
でも、そこに愛があったとあたしは信じたい


そしてあたしに残ったママのカケラは

いつの頃か、母の日にあたしがプレゼントした
千円の指輪

母がひそかに用意していた、可愛いお弁当箱


そして
いつまでも消えない
後悔