「……ぃ」



「ゅ…」



「ゆい…」



「結愛ってば!!」



「ん…?」







名前を呼んだのは真輝。

幼馴染みだ。







「大丈夫?授業おわったよ?」



「え。そうなの?」







最初から最後まで寝ていた。







「本城。これ、さっきの授業のノート。お前、寝てたろ?」







涼太が亡くなって1ヶ月が

過ぎようとしていた。



クラスのみんなは、涼太が亡くなってから

私のことを気にかけてくれていた。







「あ。ありがとぅ…」



「あんまり無理すんなよ?」



「うん。大丈夫だから」







クラスのみんなは、優しくしてくれた。

けど、心に出来た隙間は

埋まることはない。







「結愛。元気出しなよ!?笹倉くんだって、結愛が元気な方がいいんだから!!」



「うん。そうだね。」







今日もまた一日が終わった。

今日も涼太がいない道を1人で歩く。







「………」







トボトボ歩いていると、

前から走ってきた人とぶつかった。







「あっ。わりぃ!!」



「いぇ…」







すると、彼の後ろの方から

男の声がした。







「てめぇ、待て!!」



「やっべ。こっち来て」



「え…」







彼に手を引かれ、近くの公園に隠れた。







「静かにしてて。」







身体をギュッと抱き寄せている行為に

何故か懐かしさを感じた。







「ちっ。どこ行きやがった。」







公園の外を見ると、柄の悪い男数人が

彼を探しているのか、

辺りをキョロキョロしていた。



しばらくして、男たちが諦めたのか

帰っていく。