「はい…確かに母と父が生前経営していたお店ですけど…何のご用で…??」
さっそくタコ広場に向かって、ユリの母親に聞いてみたら。
どうやら本当のようだった。
「あの…両親が、あのレストランが思い出の場所なので、一日だけでいいんで貸して貰えませんか!!」
ヤンキートップの座なんて、いらねぇ。
ただ今は、両親のために頑張りたいっていうかんじ。
俺自身もよく分かンねぇ。
今までしょーもない事ばっかりしてきた事への報いなのか。
すると、ユリの母親は手の平を頬にあてがいながら、優しく笑った。
「来月に取り壊しが決まっていて…最後に利用して頂けるなら、この店も喜ぶ事でしょう」
優しい瞳をしたユリのお母さん。
その瞳は、俺のおふくろのようだった。
てゆうか、やっぱ親子なんだなって思う。
ユリのクセか分からねぇが、手を頬っぺたにあてがう所とかそっくりだった。
別にそれについて指摘をするわけではないのだが。
…とりあえず、上手く事は進んでいる。怖いくらいにな。
今日は一旦解散して、明日また具体的に何出すか、とか決めよう。
気がついた頃には辺りはすでに真っ暗だった。
パッ、と携帯のディスプレイの時間を見てみると、6時30分。
…もっといってると思ったんだが。
今思えば、11月。
当然日が暮れる時間も早まっているし、寒さもましている。
いくら先ほど暴れたといっても、11月の風は冷たすぎた。
このメンツには風邪ひかれて休まれたら、困る。
今日は早めに解散して。
今後の予定は明日に伝えるか。
俺が、そう伝えようと思って皆の方を向いた時。
真っ暗な景色には似合わない、眩しい笑顔の皆が居た。
コイツら、こうやって笑うんだな、って改めて分かった。
今までこんな感じでコイツらなんか見たことなかったが。
ほたると居ると、マジで景色が変わった。
キラキラした、というのか。
おふくろと親父のために何かしたい、なんて以前の俺じゃあ考えれなかった。
何もかもから扉を閉ざして、都合よく暮らしていた俺。
ほたるが、無理矢理俺の扉を開いた…というよりは、ぶっ壊した、の表現の方が近い。
でも、俺は今それに救われている。
ぎゃあぎゃあ騒ぐだけの笑顔が、なんか…。
心が暖かい感じの笑顔になれた。
つーかよ、俺って本当ほたるに頼ってばっかっていうか、救われてばっかっていうか。
こんなんじゃあ俺、ほたるをナくした時、どうなんだよ…。
今さらだけど、女々しい俺も、出てきてるかも…。



